「副業で事業を始めたいけれど、個人事業主と会社設立、どちらが良いんだろう?」「会社員を続けながら会社を設立することに、どんなメリットがあるんだろう?」

会社員として働きながら、自分のビジネスを立ち上げたいと考えているあなたへ。会社設立は、将来的な独立や事業拡大のための強力なステップとなり得ます。しかし、会社員を続けながら会社を設立することには、メリットだけでなく、知っておくべきリスクや手続きも存在します。

本記事では、サラリーマンが会社を設立する「本当のメリット」に焦点を当てます。個人事業主との比較、税金面での恩恵、信用度向上、資金調達の可能性、そして会社設立に伴うリスクや本業との両立のポイントまで、網羅的に解説します。

税金面でのメリット(節税効果)

会社員が会社を設立する大きなメリットの一つが、税金面での恩恵、特に節税効果です。給与所得以外に事業所得を得ることで、個人事業主として活動するよりも、法人として活動する方が税負担を軽減できる可能性があります。

法人税と所得税・住民税の比較

個人事業主として事業を行う場合、事業所得は個人の所得と合算され、所得税と住民税が課税されます。日本の所得税は累進課税制度を採用しており、所得が増えれば増えるほど税率も高くなります。最高税率は所得税が45%、住民税が10%で、合計すると最大55%もの税金がかかる可能性があります。

一方、会社を設立して法人として事業を行う場合、事業の利益には法人税が課税されます。法人税率は法人の規模や所得金額で異なります。中小企業の場合、所得800万円以下は約15%~19%、それを超える部分は23.2%です。 これに法人住民税や法人事業税が加わります。個人の所得税・住民税の累進課税と比較して、事業所得が高額になるほど法人の税率が有利になることが多く、大きな節税効果が期待できます。

役員報酬と経費の活用

会社を設立することで、個人事業主では得られない税制上のメリットを活用できます。

  • 役員報酬による給与所得控除の適用: 法人を設立した場合、社長であるあなた自身に「役員報酬」を支払うことができます。役員報酬は会社の経費となるだけでなく、受け取る側は給与所得者となるため、「給与所得控除」を適用できます。給与所得控除は、会社員にとっての「みなし経費」のようなもので、課税所得を減らす効果があります。これにより、個人の所得税・住民税の負担を軽減することが可能です。
  • 幅広い経費の計上: 個人事業主の場合、経費として認められる範囲が限定的ですが、法人ではより幅広い費用を経費として計上できます。
    • 社宅家賃: 会社が借りた物件を役員社宅とし、役員から家賃を受け取ることで、会社負担分と役員負担分の差額を経費にできます。
    • 生命保険料: 会社が契約者となり、役員を被保険者とする生命保険の保険料の一部または全額を会社の経費にできる場合があります。
    • 退職金: 将来的に役員を退任する際に支払われる退職金は、多額になることが多いですが、会社の経費として計上でき、大きな節税効果をもたらします。
    • 出張手当: 会社の規定に基づいて支払われる出張手当は、一定額まで非課税で受け取れるため、役員の手取りを増やす効果があります。

これらの経費を適切に活用することで、会社の利益を圧縮し、法人税の負担を軽減しながら、実質的な手取りを増やすことが可能になります。

社会的信用度の向上

会社員を続けながら会社を設立する具体的なメリットの一つとして、社会的信用度の向上は非常に重要です。法人格を持つことで、個人事業主とは異なるレベルの信頼を得られ、事業の可能性を大きく広げることができます。

取引先からの信頼

法人として事業を行うことは、取引先からの信頼を獲得する上で大きなアドバンテージとなります。個人事業主と比較して、法人は事業の継続性や責任体制が明確であると認識されるためです。特に、以下のような場面でその効果を発揮します。

  • 大規模な取引や継続的な契約: 大企業や公的機関との取引では、法人であることが条件となるケースも少なくありません。個人事業主では難しい規模の契約も、法人化することで門戸が開かれます。
  • 事業の安定性への評価: 法人は登記されており、事業活動が公的に記録されます。これにより、取引先は企業の存在や活動を客観的に確認でき、安心して取引を進められるようになります。
  • 与信審査の通過: 新規の取引を開始する際や、掛売りの契約を結ぶ際には、取引先の与信審査が行われます。法人であるという事実は、審査において有利に働くことが多く、ビジネスチャンスの拡大に繋がります。

このように、法人という形態自体が「信頼できる事業体」としての証明となり、より広範なビジネスチャンスを掴むための基盤となります。

資金調達のしやすさ

法人化は、資金調達の選択肢を広げ、そのしやすさを格段に向上させます。特に、金融機関からの融資や投資家からの出資を検討している場合、法人であることが有利に働く場面が多くあります。

  • 金融機関からの融資: 銀行などの金融機関は、個人事業主よりも法人に対して融資を実行しやすい傾向にあります。法人は事業計画の策定や会計処理が厳格に行われるため、返済能力や事業の健全性を判断しやすいためです。また、事業と個人の家計が明確に分離されている点も、金融機関が評価するポイントとなります。
  • 投資家からの出資: ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家といった投資家からの出資は、基本的に法人に対して行われます。投資家は、将来的な成長性が見込める企業に出資することで、株式の売却益や配当を得ることを目的としているため、事業の継続性や拡大が見込める法人形態を重視します。
  • 信用保証協会の利用: 法人であれば、信用保証協会を利用して金融機関からの融資を受けやすくなる制度も活用できます。これにより、担保や保証人がなくても融資を受けられる可能性が高まります。

法人化によって得られる信用は、事業の成長に不可欠な資金を調達する上で、強力な武器となるでしょう。

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資金調達の選択肢が広がる

会社員が会社を設立する大きなメリットの一つに、資金調達の選択肢が広がる点が挙げられます。個人事業主と比較して、法人は金融機関からの融資や投資家からの出資を受けやすくなる傾向があります。これにより、事業の初期段階や拡大期において、必要な資金をより円滑に調達できる可能性が高まります。

金融機関からの融資

法人として事業を運営する場合、個人事業主では利用が難しい、あるいは不利になる融資制度が利用できるようになります。特に、信用保証協会付き融資や日本政策金融公庫の融資制度は、法人にとって強力な資金調達手段です。

信用保証協会付き融資は、中小企業が金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会が保証を行う制度です。これにより、実績の少ない新設法人や担保・保証人が不足している企業でも、比較的融資を受けやすくなります。また、日本政策金融公庫は、国の政策に基づいて中小企業や小規模事業者を支援する金融機関であり、創業支援融資など、法人向けの多様な融資制度を提供しています。

これらの制度は、個人事業主よりも法人の方が審査において有利に働くことが多く、事業の安定的な成長を後押しする資金を確保しやすくなります。

投資家からの出資

スタートアップ企業にとって、事業を大きく成長させるためには、金融機関からの融資だけでなく、投資家からの出資も重要な資金源となります。法人化することで、エンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)といった投資家からの出資を受けられる可能性が大きく広がります。

エンジェル投資家は、創業間もない企業に自己資金を投じる個人投資家を指し、ベンチャーキャピタルは、成長が見込まれる未上場企業に投資を行う専門の投資会社です。これらの投資家は、企業の成長性や将来性を評価して出資を決定するため、個人事業主として活動している段階では、出資の対象となることはほとんどありません。

会社を設立し、法人格を持つことで、事業計画の信頼性が高まり、投資家からの評価を得やすくなります。出資を受けることで、返済義務のない資金を得られるため、より大胆な事業展開や研究開発への投資が可能となり、事業の飛躍的な成長を期待できるようになります。

許認可の取得

会社員として副業で事業を始める段階では、個人事業主として活動するケースも多いでしょう。しかし、特定の事業分野においては、法人でなければ取得できない許認可や登録が存在します。例えば、建設業や運送業、不動産業の一部、あるいは特定の金融サービス業など、社会的な責任や信頼性が特に求められる事業では、法人格が必須となる場合があります。

会社を設立することで、これらの許認可を取得する道が開け、事業展開の幅が格段に広がります。個人では難しかった大規模なプロジェクトへの参加や、特定のクライアントとの取引が可能となり、将来的な事業の成長を大きく後押しするメリットとなります。

組織化・人材採用

事業を拡大していく上で、一人でできることには限界があります。会社を設立することで、従業員を雇用し、組織として事業を運営・拡大していくことが容易になります。法人格を持つことで、求人募集の際にも社会的信用度が高まり、優秀な人材が集まりやすくなる傾向があります。

また、従業員を雇用することで、業務を分担し、より専門性の高いサービスを提供できるようになります。これにより、事業の生産性が向上し、新しい事業分野への進出や、顧客基盤の拡大にも繋がりやすくなります。個人事業主では難しい、複数人での大規模なプロジェクトや、継続的なサービス提供体制を構築できる点も、法人化の大きなメリットと言えるでしょう。

損失の繰越控除(将来的なメリット)

損失の繰越控除の仕組みとメリット

会社設立の大きなメリットの一つに、「損失の繰越控除」があります。これは、事業を開始したばかりの時期や、景気の変動などで事業が赤字になった場合、その赤字(欠損金)を翌年以降の黒字と相殺できる制度です。法人では、この損失を最長10年間繰り越すことが可能であり、将来的に利益が出た際に法人税などの税負担を軽減できます。

具体的には、ある年度に100万円の赤字が出た場合、翌年度に200万円の黒字が出ても、この制度を適用すれば100万円の赤字を相殺し、課税対象となる所得を100万円に減らすことができます。これにより、その年の法人税額を抑えることが可能です。

個人事業主にも「純損失の繰越控除」という同様の制度がありますが、その期間は最長3年間に限定されます。法人であれば10年間と長いため、事業が軌道に乗るまでに時間がかかったとしても、過去の損失を有効活用して節税できる可能性が高まります。特に、事業開始初期は先行投資などで赤字になることも少なくないため、この繰越控除は将来的なリスクヘッジとして非常に有効なメリットと言えるでしょう。

個人事業主との比較:会社設立のメリット・デメリット

会社員が事業を始める際、個人事業主としてスタートするか、会社を設立する(法人化する)かで悩む方は少なくありません。それぞれの形式にはメリットとデメリットがあり、自身の事業規模や目的によって最適な選択は異なります。

まずは、会社設立と個人事業主の主な違いを比較表で見てみましょう。

項目会社設立個人事業主
設立費用約20万~30万円(株式会社の場合)0円(開業届の提出のみ)
維持費用法人住民税(均等割)、税理士費用、社会保険料記帳代行費用など(任意)
税金法人税、法人住民税、法人事業税所得税、住民税、個人事業税(一定所得以上)
会計処理複雑(複式簿記が必須)比較的簡易(青色申告なら複式簿記推奨)
社会的信用 高い比較的低い
資金調達融資、出資など選択肢が多い融資のみが一般的
社会保険強制加入(厚生年金・健康保険)国民年金・国民健康保険(任意で加入)
責任範囲有限責任(出資額の範囲内)無限責任(事業の債務を全て負う)

上記の表からもわかるように、会社設立には個人事業主にはないメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。次に、会社設立の具体的なデメリットについて詳しく見ていきましょう。

会社設立のデメリット

会社設立は多くのメリットをもたらしますが、同時に個人事業主にはないいくつかのデメリットも存在します。これらの点を十分に理解した上で、会社設立を検討することが重要です。主なデメリットとしては、設立・維持コスト、事務作業の煩雑さ、そして社会保険への加入義務が挙げられます。

設立・維持コスト(登記費用、税理士費用など)

会社を設立し、維持していくためには、個人事業主にはかからない様々なコストが発生します。これらは事業を始める上で考慮すべき重要な要素です。

設立費用:

  • 定款認証費用: 公証役場で定款を認証してもらう際に必要となる費用で、株式会社の場合、約3万~5万円がかかります。
  • 登録免許税: 会社の設立登記を行う際に法務局へ納める税金で、株式会社の場合、資本金の0.7%(最低15万円)が必要です。

これらの費用を合わせると、株式会社を設立する場合、合計で約20万円以上の初期費用が見込まれます。

維持費用:

  • 法人住民税(均等割): 赤字であっても、年間約7万円程度の均等割が発生します。
  • 税理士顧問料: 法人税の申告は複雑なため、多くの場合、税理士に依頼することになります。顧問料は月額数万円、決算申告料は別途数十万円かかるのが一般的です。
  • 社会保険料: 後述しますが、役員報酬を設定すると社会保険への加入が義務付けられ、会社と個人で保険料を負担することになります。

これらのコストは、個人事業主が事業を始める際には基本的に発生しないため、会社設立を検討する上で慎重に考慮する必要があります。

事務作業・手続きの煩雑さ

会社を設立すると、個人事業主に比べて経理や税務、労務に関する事務作業が格段に増え、より複雑になります。

主な例としては、以下のような点が挙げられます。

  • 会計処理: 会社は「複式簿記」という専門的な会計方法で帳簿をつけることが義務付けられています。個人事業主でも青色申告をする場合は複式簿記が推奨されますが、法人では必須です。
  • 決算申告: 年に一度、法人税、法人住民税、法人事業税といった税金の申告が必要です。これらの手続きは専門知識を要するため、多くの場合、税理士に依頼することになります。
  • 税務関連書類の提出: 設立時や役員変更時など、様々な場面で税務署や都道府県、市区町村へ書類を提出する必要があります。
  • 社会保険手続き: 従業員を雇用した場合だけでなく、代表者自身も社会保険に加入するため、年金事務所での手続きや毎月の保険料計算・納付が必要になります。

これらの事務作業は、本業を持つサラリーマンにとって大きな負担となる可能性があります。

社会保険への加入義務

法人を設立すると、たとえ代表者一人だけの会社であっても、原則として社会保険(健康保険と厚生年金保険)への加入が義務付けられます。これは個人事業主が国民健康保険と国民年金に加入するのと大きく異なる点です。

社会保険に加入すると、将来の年金額増加や健康保険の傷病手当金充実といったメリットがありますが、保険料負担が増えるデメリットもあります。 保険料は会社と個人が折半して負担するため、役員報酬の額に応じて毎月一定額が会社の経費として、また個人の給与から天引きされる形で発生します。

会社員がすでに社会保険に加入している場合、設立した会社でも加入すると二重加入になります。原則として、本業の会社か設立した会社のどちらか一方を選択します。

サラリーマンが会社を設立する際の注意点とリスク

会社員として働きながら会社を設立し、事業を運営することは、多くのメリットがある一方で、いくつかの注意点やリスクも伴います。これらを事前に理解し、適切な対策を講じることが、スムーズな事業運営と本業との両立の鍵となります。

本業の就業規則の確認

会社員が会社を設立する上で、まず確認すべきは、勤務先の就業規則です。特に「副業」や「兼業」に関する規定は非常に重要です。多くの企業では、従業員が会社の許可なく他の事業を行うことを制限している場合があります。

就業規則に違反した場合、懲戒処分や減給、最悪の場合は解雇といったリスクに直面する可能性があります。会社の許可が必要な場合は、事前に相談し、書面で許可を得るようにしましょう。許可を得る際も、事業内容や規模について正直に伝えることが重要です。規則が不明瞭な場合は、人事部などに問い合わせて確認することをおすすめします。

競業避止義務

競業避止義務とは、従業員が勤務先の会社と競合する事業を行ってはならないという義務のことです。これは、就業規則に明記されている場合もあれば、明記されていなくても労働契約上の信義則として適用される場合があります。

もし設立する会社が、本業の会社と同じ業界や事業内容であった場合、競業避止義務に違反する可能性があります。これにより、本業の会社から損害賠償を請求されたり、法的措置を取られたりするリスクがあります。特に、本業で得た顧客情報や技術、ノウハウなどを利用して事業を行うことは、重大な違反行為とみなされます。会社設立を検討する際は、本業と競合しない事業内容を選ぶか、弁護士などの専門家に相談してリスクを評価することが不可欠です。

時間的・精神的な負担

会社員として本業をこなしながら、会社の設立準備やその後の経営を行うことは、時間的にも精神的にも大きな負担を伴います。設立手続きには書類作成や役所への提出など、想像以上の時間と手間がかかります。

会社設立後も、本業の勤務時間外や休日を利用して、事業の企画、顧客対応、経理処理、マーケティングなど、多岐にわたる業務をこなさなければなりません。これにより、プライベートの時間が大幅に削られたり、十分な休息が取れなかったりする可能性があります。また、事業の責任はすべて自分に降りかかるため、精神的なプレッシャーも増大します。

これらの負担を軽減するためには、タスク管理の徹底、外部の専門家(税理士など)への業務委託、家族の理解と協力が不可欠です。無理のない範囲で、着実に事業を進める計画を立てましょう。

会社設立の基本的な手続きと費用

会社員として働きながら会社を設立する際、どのような手続きが必要で、どれくらいの費用がかかるのかは、事前に把握しておきたい重要なポイントです。ここでは、会社設立の基本的な流れと、費用について具体的に解説します。

設立手続きの概要

会社設立の手続きは、いくつかのステップを経て進められます。ここでは、一般的な株式会社設立を例に、その流れを順を追って見ていきましょう。

  • 会社基本事項の決定: 商号(会社名)、事業目的、本店所在地、資本金の額、発起人(出資者)と役員構成などを決定します。これらは会社の根幹をなす重要な情報です。
  • 定款の作成と認証: 定款とは、会社の根本規則を定めたもので、会社の憲法とも呼ばれます。決定した基本事項に基づき定款を作成し、公証役場で認証を受けます。電子定款を利用すれば、印紙税4万円を節約できます。
  • 資本金の払い込み: 発起人(出資者)個人の銀行口座に、資本金として設定した金額を払い込みます。この際、払込が確認できる通帳のコピーなどが必要になります。
  • 設立登記申請: 定款認証と資本金の払い込みが完了したら、法務局へ設立登記を申請します。登記申請日が会社の設立日となります。必要な書類は多岐にわたるため、不備がないよう慎重に進める必要があります。
  • 会社設立後の諸手続き: 登記が完了したら、税務署、年金事務所、労働基準監督署などへ設立後の届出を行います。具体的には、法人設立届出書、青色申告承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書などが挙げられます。

これらの手続きは専門知識を要するため、司法書士や行政書士といった専門家に依頼することも一般的です。

設立にかかる費用の目安

会社設立には、法定費用と専門家への報酬が発生します。ここでは、株式会社と合同会社の場合に分けて、費用の目安を見ていきましょう。

株式会社の場合

  • 定款認証手数料: 約5万円(公証役場に支払う費用。電子定款の場合は不要)
  • 登録免許税: 15万円(資本金が2,142万円以下の場合。資本金の0.7%か15万円の高い方)
  • 印紙代: 4万円(紙の定款の場合。電子定款の場合は不要)
  • 司法書士報酬: 約5万円〜15万円(専門家に依頼する場合) これらの合計で、およそ20万円〜35万円程度が目安となります。

合同会社の場合

  • 登録免許税: 6万円(資本金が857万円以下の場合。資本金の0.7%か6万円の高い方)
  • 印紙代: 4万円(紙の定款の場合。電子定款の場合は不要)
  • 司法書士報酬: 約3万円〜10万円(専門家に依頼する場合) 合同会社は定款認証が不要なため、株式会社よりも費用を抑えられます。合計で、およそ10万円〜20万円程度が目安となります。

上記費用に加え、会社の印鑑作成費用や、設立後の税理士顧問料なども考慮に入れておく必要があります。ご自身の状況に合わせて、どの会社形態が最適か、またどの程度の費用がかかるかを事前に確認することが重要です。

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会社設立が向いているケース・向いていないケース

ここまで会社設立のメリット・デメリット、注意点を解説してきました。ご自身の状況を照らし合わせ、「自分は会社設立に向いているのだろうか?」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、会社員が会社設立を検討する際に、どのようなケースでメリットを享受しやすいのか、あるいは避けるべきなのかを具体的に見ていきましょう。

会社設立が向いているケース

以下のような状況に当てはまる場合、会社員として会社を設立するメリットを最大限に享受できる可能性が高いでしょう。

  • 事業規模を拡大したいと考えている場合: 現在、副業として事業を行っており、将来的に本業と同等、あるいはそれ以上の収入を目指している、あるいは従業員を雇い入れて事業を拡大したいと考えている場合は、法人格を持つことで信用度が高まり、資金調達や取引先の開拓がスムーズになります。
  • 事業所得が安定して高額な場合: 年間所得が一定額(例えば、所得税の税率が上がる600万円〜800万円以上)を超えてくるようであれば、法人化による節税効果が大きくなります。法人税と所得税の税率差を利用して、手取りを増やすことが可能です。
  • 社会的信用を重視する事業の場合: BtoB(法人向け)の取引が多い事業や、金融機関からの融資、許認可の取得が必要な事業では、個人事業主よりも法人の方が社会的信用度が高く、事業を円滑に進めやすくなります。
  • 明確な事業計画があり、リスクを分散したい場合: 事業への強いコミットメントがあり、長期的な視点で事業を成長させたいと考えている場合、会社設立は有効な手段です。また、会社員としての給与所得と事業所得を明確に分け、万が一事業が失敗した場合のリスクを法人という形で限定したいと考える場合にも適しています。

会社設立が向いていないケース

一方で、以下のような状況では、会社設立よりも個人事業主や副業のまま事業を進める方が適している場合があります。

  • 事業の収益が不安定、または小規模な場合: まだ事業が軌道に乗っておらず、収益が安定しない、あるいは年間所得がそれほど高くない段階では、会社設立にかかる費用や維持コスト(法人住民税の均等割など)が負担となる可能性があります。節税メリットも出にくいため、個人事業主から始める方が賢明です。
  • 事務作業の負担を最小限に抑えたい場合: 会社を設立すると、会計処理や税務申告、社会保険の手続きなど、個人事業主よりもはるかに多くの事務作業が発生します。これらの作業に時間を割きたくない、あるいは専門家に依頼するコストを避けたい場合は、個人事業主のままの方が負担が少ないでしょう。
  • 本業との両立が困難な場合: 本業が非常に忙しく、副業の事業に割ける時間や精神的な余裕が少ない場合、会社設立に伴う複雑な手続きや日々の運営は大きな負担となります。無理に法人化することで、本業に支障をきたすリスクも考慮する必要があります。
  • 事業を一時的なものと考えている場合: 特定のプロジェクトや期間限定の活動など、一時的な事業である場合は、会社設立のメリットよりも、設立・維持コストの方が大きくなる可能性があります。柔軟に事業を終了できる個人事業主の方が適しているでしょう。

まとめ:会社員だからこそ、会社設立を検討すべき理由

会社員として安定した収入を得ながら、自分のビジネスを立ち上げたいと考えるあなたにとって、会社設立は非常に魅力的な選択肢であることがお分かりいただけたでしょうか。本記事では、会社員が会社を設立する際の「本当のメリット」として、節税効果、社会的信用度の向上、資金調達のしやすさ、事業拡大の自由度、そして損失の繰越控除といった多角的な視点から解説してきました。

もちろん、設立・維持コストや事務作業の煩雑さ、社会保険への加入義務といったデメリット、さらには本業の就業規則の確認や時間的・精神的な負担といった注意点も存在します。しかし、これらを事前に理解し、適切な対策を講じることで、リスクを最小限に抑えながら、あなたのビジネスを次のステージへと進めることが可能です。

最終的な判断と専門家への相談

会社設立は、あなたのビジネスを本格化させ、将来の可能性を大きく広げるための重要なステップです。会社員という安定した基盤があるからこそ、個人事業主とは異なり、比較的リスクを抑えながら新たな挑戦ができるという大きな利点があります。

本記事で解説したメリットとデメリット、注意点を踏まえ、ご自身の事業内容や目標、そしてライフスタイルに合わせて、会社設立が最適な選択であるかを慎重に検討してください。

もし、具体的な手続きや税務処理、法務上の疑問が生じた場合は、一人で抱え込まず、税理士や司法書士といった専門家へ相談することをおすすめします。彼らはあなたの状況に合わせた的確なアドバイスを提供し、会社設立への道を力強くサポートしてくれるでしょう。あなたのビジネスが大きく飛躍することを心から応援しています。