会社を設立するにあたって、どのような会社名にするか悩まれる方は多くいます。
会社名は会社の顔であり、これから長く付き合っていくものですから、慎重に決めたいと思われる方がほとんどでしょう。
今回は、会社名を決める際に知っておきたいルールやポイントについてご紹介します。
このページの目次
会社名を決めるときに覚えておきたい基本ルール
1.会社の種類を表示しなければならない
会社法の第6条第2項によると、会社名にはその会社の種類(株式会社、合同会社、合資会社、合名会社など)を示す言葉をを入れる必要があります。
「株式会社〇〇」や「〇〇株式会社」といったカタチで表記します。
前に付けるか後に付けるかに関して、とくに決まりはありません。
2.使える文字・符号・ローマ字表記が決まっている
商業登記規則の第50条第1項によると、会社名にはローマ字や符号を使えます。
具体的には、以下の文字を使用可能です。
- ローマ字(大文字及び小文字)
- アラビア数字
- 「&」(アンパサンド)
- 「’」(アポストロフィー)
- 「,」(コンマ)
- 「‐ 」(ハイフン)
- 「.」(ピリオド)
- 「・」(中点)
一般的な文字はほとんど使用可能ですが、、特殊な外国文字やギリシャ数字、「!」や「?」などは使用できませんのでご注意ください。
3.「銀行」「信託会社」「保険会社」などは使えない
「銀行」「信託会社」「保険会社」は、その事業を行っている法人だけが使用できるものであり、その事業を行っていない法人が会社名に使用することは禁止されています。
4.同一住所での同一会社名は使えない
商業登記法の第27条によると、同じ会社名の他社が同一住所にある場合、同名で登記できません。
現在はシェアハウスやバーチャルオフィスを利用して起業する人も増えています。
その場合、同一住所に複数の企業が存在する可能性もあるので、会社設立・登記をする場合は注意しましょう。
なお、本店所在地は地番まで入っていればよく、建物名まで入れる必要はありません。
「○○ビル1階」までを本店所在地に入れると、後日「〇〇ビル2階」で同じ商号の会社が設立されてしまうかもしれませんので、あえて本店所在地はビル名まで入れないという選択もできます。
会社名を決めるときのポイント
1.何の会社か分かる名前にする
会社名に商品名やサービス名が入っていると、取引先の印象に残りやすいでしょう。
会社設立後は初めての取り引きが多くなりますので、何をしている会社かをすぐにイメージできるほうが取引先もイメージがしやすいでしょう。
また、会社のビジョンやミッションが会社名に込められていると、取引先に良い印象やインパクトを与えるきっかけにもなります。
2.ドメインを取得できるか確認する
会社名を決める際は、ドメインを取得できるかどうかチェックしましょう。
ドメインは1つのホームページに1つと決められているため、他の会社で使われているドメインは使用できません。
Webからの集客を想定している場合、会社名とドメインを統一しておかなければ、会社の信用度にも関わってきます。
会社名を決める際には、その社名を使ったドメインが使えるのか確認しましょう。
3.検索エンジンで埋もれそうな名前は避ける
検索エンジンからの流入は、顧客獲得の重要な経路であり、検索エンジンを意識したホームページ作りが大事となります。
会社名が大手の有名企業やサービス名に使われている場合は、検索結果に埋もれてしまう場合があります。
そのため、できるだけ大手の会社名と被らないように工夫したほうがよいでしょう。
4.他社と同じ会社名をつける際は十分に配慮する
会社名は、法律上同じ会社名が存在しても問題はありません。
しかし、会社名が同じことによってトラブルが起こる可能性もあるため、その点は認識しておく必要があります。
また、商標権の侵害や、不当競争防止法に基づいて訴えられる可能性があるので、似たような商品名やサービスがないか事前に類似商号チェックをしておくことが大事です。
5.悪評のある会社や人物に関連した名前は避ける
世間的に悪い評判やマイナスイメージがある組織・商売に関する名前は避けたほうが無難です。
実際には当該組織や人物と無関係である場合でも、関係しているという誤解を与え、信頼を損なう可能性があります。
また、悪評のある会社や人物に関連した名前を選ぶと、ブランドが持つべきポジティブなイメージや価値観が損なわれ、企業全体のイメージダウンにつながることがあります。
そういったリスクのある会社名を避けることで、企業の信頼性やブランド力を保ち、長期的な成功につなげることができます。
よくある質問
会社名は後で変えられる?
設立後に会社名変更することは可能です。
ただし、会社名の変更にはいくつかの手続きが必要です。
株主総会での決議、定款の変更、法務局での登記変更、税務署などの官公庁への届出などが必要です。
法務局での登記変更については、更手続きに登録免許税がかかり、費用として3万円が必要です。
また、会社名の変更後は、名刺、ウェブサイト、各種契約書、看板など、外部に向けた表記もすべて新しい会社名に更新しなければなりませんので、取引先や顧客に混乱を与えないように注意する必要があります。
商号(会社名)は商標登録すべき?
商号(会社名)を商標登録すべきかどうかは、会社のビジネス戦略やブランド保護の観点から重要な判断となります。
基本的には、商号も商標として登録することを検討するのが一般的です。
商標登録しないと、仮に他社がその会社名を商標登録した場合、その会社名をビジネスにおいて使えなくなる可能性があるからです。
商標権は最初に登録した1社が取得できるため、先に他社に登録されてしまった場合、その会社に商標権を譲ることになります。
この場合、商標権を持つ他社から商標権侵害を訴えられるという事態も起こりえます。
まとめ
会社名は会社の成功を左右する重要な要素です。
法的なルールを守りつつ、顧客に響く名前を選ぶことで、ブランドの認知度や信頼性を高めることができます。
長期的な視点で会社のビジョンに合った名前を選びましょう。