「役員報酬額はどうやって決めればいいのだろう」
会社を設立する際、このような疑問をもつ方は多いと思います。
役員報酬額を決定する方法はいくつかあり、どの方法が最適なのかは会社の規模や業績、経営方針などによって変わります。
当記事では、役員報酬額の代表的な決定方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
1.事業計画にもとづいて決める
役員報酬額の決定方法の1つ目は、「会社の事業計画(損益計画)を作成し、その結果から報酬額を決める」という方法です。
役員報酬額を決定する際には、会社の財務状況を考慮することが重要です。
過剰な報酬額を設定してしまうと、会社の資金繰りを圧迫し、経営に支障をきたす恐れがあります。
事業計画に基づく決定方法では、過剰な報酬が支払われることがないように、会社の利益をもとに報酬額を決定します。
ステップ:
1.事業計画を策定し、売上や利益を見積もる
2.予測利益にもとづいて役員報酬額を決める
利点:
・経営状況に応じて報酬額を調整できるため、会社に過度の負担をかけることがない
注意点:
・実現可能で正確な事業計画を立てることが必要
・売上やコストの見積もりが甘いと、業績と報酬額に差が生じ、会社の財務に負担がかかる
2.希望額にもとづいて決める
役員報酬額の決定方法の2つ目は、「役員が自身の希望にもとづいて報酬額を設定し、その額をもとに利益配分を決める」という方法です。
この方法では、役員報酬に事業の利益をどの程度充てられるかを検討し、会社の資金状況や税務面を考慮して調整します。
ステップ:
1.役員が希望する報酬額を決める
2.希望額が会社にとって無理なく支払えるかどうかを確認し、最終的な報酬額を検討する
利点:
・役員の希望に応じた報酬額を設定できるため、モチベーションや満足度を高めやすい
注意点:
・希望額が過度に高いと、会社の財務状況に負担がかかる
・法人税や社会保険料とのバランスも考慮する必要がある
3.業界の相場を参考にして決める
役員報酬額の決定方法の3つ目は、「役員報酬額の相場や、業界における水準を参考にして、役員報酬額を決める」という方法です。
とくに上場企業や大企業では、業界全体の水準が一つの指標となります。
しかし、相場をそのまま適用するのではなく、自社の規模や業績に合わせて調整しましょう。
ステップ:
1.業界や同業他社の役員報酬額の水準を調査する
2.相場を参考にしながら、会社の規模や業績に合わせて検討する
利点:
・業界の水準にもとづいているため、過剰な報酬額の設定を避けることができる
注意点:
・相場に左右されすぎると、自社の実情に合わない報酬額を設定してしまう可能性がある
4.従業員の給与とバランスをとって決める
役員報酬額の決定方法の4つ目は、「従業員の給与とバランスをとり、会社全体のモラルを保ちながら報酬額を決める」という方法です。
役員報酬額が過度に高くて従業員の給与が低い場合、従業員の士気が低下し、会社全体のパフォーマンスや業績に悪影響を与える可能性があります。
逆に、役員報酬が過度に低いと、経営者のモチベーションに悪影響を与えるため、適度にバランスをとる必要があります。
ステップ:
1.従業員の給与状況や業績を考慮する
2.役員報酬額が従業員の給与と不均衡にならないように、適切な水準を見極める
利点:
・従業員の士気を維持し、モチベーションを高めることができる
・会社全体の業績や団結力にプラスの影響を与えることができる
注意点:
・役員報酬額が過度に低い場合、役員のモチベーションや業績に悪影響を与える可能性がある
まとめ
役員報酬額の決定方法としては、「事業計画に基づく方法」「事業計画にもとづいて決める」「希望額にもとづいて決める」「業界の相場を参考にして決める」「従業員の給与とバランスをとって決める」の4つがあります。
会社の経営状況や従業員との調和を考慮しながら、適切な役員報酬額を設定することが重要です。
また、役員報酬額は、税務面にも大きな影響を与えます。
役員報酬額が高いと所得税や社会保険料などの個人負担が増加しますし、報酬額が低いと会社に利益が残りすぎて法人税が増加します。
税務面まで考慮に入れ、個人と法人、双方にとって最適な報酬額を検討しましょう。