法人住民税は、法人が地方自治体に納める税金の一つで
赤字であっても一定額を支払う必要がある「均等割」という仕組みが特徴です。
一方で、個人事業主の場合、所得がゼロや赤字であれば住民税を支払わなくて済むことが多いため
この違いは法人設立を検討する際に重要なポイントになります。
本記事では、法人住民税の基本的な仕組み、個人事業主の住民税との違い
法人設立前に知っておくべきポイントについて詳しく解説します。
このページの目次
1. 法人住民税とは?
法人住民税とは、法人が地方自治体(都道府県・市区町村)に納める税金のことで
法人が所在する地域ごとに課税されます。
個人事業主が所得に応じて住民税を納めるのと同様に
法人もその地域の行政サービスを受ける対価として住民税を負担します。
法人住民税は、全国一律の国税ではなく、地方税であるため
自治体によって税率や課税方式に若干の違いがあります。
しかし、基本的な仕組みは全国共通です。
2. 個人事業主の住民税との違い
法人住民税と個人事業主の住民税には、以下のような違いがあります。
法人(法人住民税) | 個人事業主(住民税) | |
税金の 種類 | 「均等割」+「法人税割」 | 「均等割」+「所得割」 |
赤字の 場合 | 均等割の支払い義務あり | 所得がゼロなら基本的に住民税なし |
税率 | 法人税割の税率は自治体ごとに異なる | 所得割は約10%(自治体ごとに変動) |
最低負担額 | 資本金1000万円以下の法人で年間約7万円 (自治体により異なる) | 均等割のみ (自治体によって数千円〜5000円程度) |
納付方法 | 申告納税(事業年度ごとに納付) | 所得税の確定申告後に決定し、6・8・10・1月に納付 |
ポイント①:赤字でも法人は税金を払うが、個人事業主は払わなくてもよい
個人事業主の場合、所得がゼロや赤字であれば、所得割は発生しません。
ただし、均等割(5000円程度)は発生することがあります。
一方、法人は赤字であっても 均等割が必ず課税される ため
最低でも毎年数万円の負担が発生します。
ポイント②:法人は納付スケジュールが異なる
個人事業主の住民税は、所得税の確定申告が終わった後に市区町村から通知が届き
年4回に分けて納付します。
法人の場合は、決算後に法人自らが申告し、納税する必要があります。
3. 法人住民税の内訳(「均等割」と「法人税割」)
法人住民税は、「均等割」 と 「法人税割」 の2つで構成されます。
(1) 均等割とは?
均等割とは、法人の所得(利益)の有無にかかわらず、すべての法人が一定額を支払う税金です。
赤字経営で利益が出ていなくても支払う必要があるため、
事業を始める前に理解しておくことが大切です。
(2) 法人税割とは?
法人税割は、法人税(国税)に基づいて計算される税金で
法人の所得に応じて変動します。
赤字の場合、法人税が発生しないため法人税割もゼロになります。
4. 赤字でも法人住民税を支払う必要がある理由
法人が赤字でも均等割を支払う理由は
法人が自治体から行政サービスを受ける対価として課税されるためです。
法人は、利益の有無にかかわらず法人格を維持し、取引の信用を得ることができます。
そのため、最低限の税負担として均等割が課せられます。
5. 法人住民税の税率と計算方法
法人住民税は以下の計算式で求められます。
法人住民税 = 均等割 + 法人税割
法人税割の税率は自治体ごとに異なりますが、標準税率は 6〜10% の範囲で設定されています。
例えば、法人税額が100万円だった場合、法人税割は 6万円〜10万円 となります。
6. 法人住民税の納付方法とスケジュール
法人住民税の納付は、事業年度終了後 2ヶ月以内 に確定申告とともに行います。
また、前年度の法人税額に応じて中間納付が発生する場合もあります。
7. 会社設立前に知っておくべきポイント
赤字でも均等割の負担がある
→ 最低でも年間 7万円〜 の負担を考慮する。
個人事業主なら赤字なら住民税ゼロの可能性
→ 事業規模が小さいうちは法人化せず個人事業主で様子を見る選択肢も。
資本金額によって税負担が変わる
→ 設立時に慎重に検討する。
納税スケジュールを把握する
→ 予期せぬ納税トラブルを避ける。
8. まとめ
法人住民税は、法人が必ず支払う必要のある地方税であり、赤字でも均等割が発生します。
一方、個人事業主は赤字なら住民税の負担がない場合が多く
この違いは法人化を検討する際の重要なポイントになります。
事業の成長と税負担のバランスを考えながら、適切な法人化のタイミングを判断しましょう。