起業を決意した際、まず直面するのが「会社設立には結局いくらかかるのか」という疑問です。 株式会社と合同会社のどちらを選ぶか、専門家に依頼するか自分で手続きするかで、費用は大きく変動します。 本記事では、2026年7月現在の最新情報に基づき、会社設立費用の内訳と相場、賢くコストを抑えるためのポイントを網羅的に解説します。
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会社設立費用の全体像と株式会社・合同会社の比較
会社設立時、多くの起業家は「どの程度の資金が必要か」という疑問に直面します。 会社設立には、国へ納める法定費用と、手続きを外部委託する場合の専門家報酬という2つの大きなコストがかかります。費用の全体像を把握することは、限られた初期資金を有効活用し、事業を円滑に立ち上げるための第一歩です。
会社設立にかかる費用の内訳
会社設立費用は、大きく「法定費用」と「専門家報酬」の2つに分類されます。法定費用とは、法務局での登記申請や公証役場での定款認証など、手続きを行うために国や公的な機関へ必ず支払わなければならない実費のことです。株式会社の場合、主に「定款認証手数料」「定款への印紙代」「登録免許税」が発生します。
一方、専門家報酬とは、司法書士や行政書士に書類作成や申請代行を依頼する場合に支払う費用です。こちらは依頼する範囲によって数万円から20万円程度まで幅がありますが、自分で行う場合にはゼロに抑えることも可能です。ただし、手続きに不備があると登記が受理されず、再申請の手間がかかるリスクがあります。コストと手間のバランスを慎重に判断しましょう。
株式会社と合同会社の費用比較
株式会社と合同会社では、設立にかかるコストに明確な差があります。特に大きな違いは「定款認証」の有無と「登録免許税」の最低額です。株式会社は公証役場での定款認証が必須であり、その手数料や印紙代がかかりますが、合同会社は認証が不要であるため、その分のコストを削減できます。
以下に、両者の設立費用の目安をまとめました。
| 項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 定款認証手数料 | 約30,000円〜50,000円 (※条件を満たした場合のみ15,0000円) | 不要 |
| 定款印紙代 | 40,000円(※電子定款は0円) | 不要 |
| 登録免許税 | 150,000円(資本金の0.7%) | 60,000円(資本金の0.7%) |
| 合計(最低額) | 約200,000円〜 | 約60,000円〜 |
※電子定款を利用し、自分で手続きを行った場合の目安です。
表の通り、合同会社は株式会社と比較して設立コストを大幅に抑えられるのが最大のメリットです。株式会社は社会的信用度が高い一方で、設立時だけでなく維持コストの面でも検討が必要です。ビジネスモデルや資金調達計画を見据え、初期費用だけでなく総合的な観点から最適な形態を選択しましょう。

必ず発生する法定費用の詳細
会社設立の手続きにおいて、法務局への登記申請や公証役場での手続きには「法定費用」と呼ばれる実費が必ず発生します。これは、どのような方法で設立を進めても、国や公証人に支払う必要がある費用です。
法人設立の費用構造を理解する上で重要となるのが「定款」の作成方法です。定款とは会社の基本ルールを定めた書類ですが、これを紙で作成するか、電子データで作成するかによって、公証役場での認証にかかる費用が異なります。以下の表は、株式会社設立時の定款作成コストを比較したものです。
| 項目 | 紙定款 | 電子定款 |
|---|---|---|
| 定款印紙代 | 40,000円 | 0円 |
| 定款認証手数料 | 30,000円〜50,000円 (※注2:条件を満たした場合のみ15,000円) | 30,000円〜50,000円 (※注2:条件を満たした場合のみ15,000円) |
| 合計 | 70,000円〜90,000円 | 30,000円〜50,000円 |
※注1:認証手数料は資本金額により異なります。
※注2:資本金が100万円未満で、①発起人の全員が自然人であり、かつ、その数が3人以下である、②定款に発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載又は記録がある、③定款に取締役会を置く旨の記載又は記録がない場合、定款認証手数料は15,000円になります。
電子定款を選択することで、本来必要な印紙代4万円を丸ごと削減できるため、多くの起業家が電子定款を選択しています。次項より、それぞれの費用の詳細を解説します。
登録免許税の仕組み
登録免許税は、会社を登記する際に法務局へ納める税金です。この金額は、設立する会社の資本金額によって決定されます。
株式会社の場合、登録免許税は「資本金の額 × 0.7%」で計算されます。ただし、この計算結果が15万円に満たない場合は、最低額として一律15万円を納める必要があります。つまり、資本金が約2,142万円以下であれば、登録免許税は一律15万円となります。
一方、合同会社の場合、登録免許税は「資本金の額 × 0.7%」で計算されますが、最低額は6万円です。資本金が約857万円以下であれば、一律6万円で設立が可能です。このように、資本金額の設定は初期コストに直結するため、事業の運転資金や信用力とのバランスを考慮しながら決定することが重要です。
定款認証と印紙代の節約術
株式会社を設立する際には、作成した定款を公証役場で認証してもらう必要があります。この際、紙の定款を使用すると、印紙税法に基づき4万円の収入印紙を貼付しなければなりません。これが「紙定款」にかかる追加コストの正体です。
この4万円をゼロにする方法が「電子定款」の活用です。電子定款とは、定款をPDF形式で作成し、電子署名を施したものです。電子データには印紙税法上の「文書」という定義が適用されないため、4万円の印紙代が不要となります。
電子定款の作成には、専用ソフトや電子署名環境、あるいは専門家が保有するシステムを利用する必要があります。専門家に依頼すれば電子定款作成を代行してもらえるため、自分で環境を整える手間とコストを省けます。これから設立を予定している方は、この電子定款によるコスト削減を前提に、手続き方法を検討することをおすすめします。
専門家依頼と自分で行う手続きのコスト比較
会社設立の手続きを専門家に任せるか、自力で行うかは、多くの起業家が直面する最初の決断です。専門家に依頼すれば、煩雑な書類作成や法務局とのやり取りを大幅に削減できるため、事業の準備に集中できるという大きなメリットがあります。一方で、自力で行う場合は専門家への報酬が不要となり、初期費用を数万円単位で節約できるのが最大の魅力です。
どちらを選択すべきか判断するために、まずは両者の特徴を比較表で整理します。
| 項目 | 専門家依頼 | 自分で行う |
|---|---|---|
| 初期費用 | 高い(報酬が発生) | 安い(実費のみ) |
| 事務負担 | ほとんどなし | 高い(調査・作成が必要) |
| 正確性 | 高い(プロのチェック) | 自己責任(ミスによる修正リスク) |
| 所要時間 | 短い | 長い |
このように、専門家依頼は「時間と安心」を買い、自分で行うことは「コスト」を優先する選択といえます。自身の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。
専門家への依頼報酬の相場
専門家に会社設立を依頼する場合、主に司法書士や行政書士が窓口となります。一般的に、専門家への報酬相場は5万円から15万円程度です。この金額には、定款の作成、登記申請書類の作成、法務局への申請代行などが含まれます。
注意点として、この報酬とは別に、登録免許税や定款認証費用などの「法定費用」が別途必要になる点です。また、電子定款に対応している専門家であれば、自分で紙の定款を作成する際に必要な収入印紙代(4万円)を節約できるため、実質的なコスト差は縮まります。最近は、税務顧問契約を条件に設立報酬を割引く税理士事務所も増えています。トータルコストで検討することが重要です。
自分で手続きを行うリスクとメリット
自分で手続きを行う最大のメリットは、専門家報酬をゼロにできる点です。浮いた資金を事業の運転資金や広告費に回せることは、資金の限られた創業期において非常に大きな強みとなります。また、設立手続きを一通り経験することで、法人の仕組みや登記の内容を深く理解できるという副次的なメリットもあります。
一方で、リスクも存在します。定款の記載内容に法的な不備があると、登記申請が却下されたり、後から定款を変更するために再度費用(登録免許税3万円など)が発生したりする可能性があります。また、書類の収集や法務局への往復には相当な時間と手間が必要です。特に初めての起業で忙しい時期にこれら全てを行うと、事業開始が遅れる恐れがあります。自身の事務処理能力と、確保できる時間を冷静に天秤にかけて判断することが大切です。

設立後のランニングコストと注意点
会社設立はゴールではなく、事業運営のスタート地点です。多くの起業家が設立時の費用に注目しがちですが、安定した経営を続けるためには、設立後に毎期発生するランニングコストをあらかじめ把握しておくことが欠かせません。
法人を維持するためには、売上の有無にかかわらず発生するコストが存在します。これらを考慮せずに資金計画を立てると、事業開始直後に資金繰りが悪化するリスクがあります。以下の表に、設立後に発生する主な維持費をまとめました。
| 項目 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 法人住民税(均等割) | 赤字でも支払う税金 | 年間7万円〜 |
| 法人税(法人税割) | 利益に応じて課税 | 利益の約15〜23% |
| 会計ソフト利用料 | 帳簿作成・決算用 | 年間1〜3万円 |
| 役員報酬・社会保険料 | 役員の生活費と保険料 | 給与額による |
これらの費用は、事業が軌道に乗るまでの間も会社のキャッシュフローを圧迫する要因となります。特に税務申告や会計処理は、事業規模が小さくても一定のコストがかかることを念頭に置いておく必要があります。
赤字でも発生する法人住民税
会社を設立すると、たとえその事業年度が赤字であっても、「法人住民税の均等割」という税金を納める義務が生じます。これは個人の所得税とは大きく異なる点であり、起業初心者が特に注意すべきポイントです。
法人住民税の均等割は、資本金額や従業員数に応じて決定されます。もっとも小規模なケース(資本金1,000万円以下、従業者50人以下)であっても、年間で最低7万円程度(自治体により多少異なります)の支払いが毎年発生します。この費用は「会社が存在することに対する手数料」のような性質を持っており、事業活動の実績に関わらず毎年納付し続けなければなりません。赤字が続いた場合でもこの負担は免除されないため、運転資金の計画を立てる際には、この固定費を必ず組み込んでおくことが重要です。
資本金額設定の判断基準
資本金の額は、会社の信用力を示す指標となるだけでなく、設立後の税負担や事業運営にも大きな影響を与えます。そのため、単に「最低額の1円」や「見栄えの良い100万円」といった安易な設定は避けるべきです。
まず考慮すべきは消費税の免税事業者要件です。資本金が1,000万円未満であれば、設立1期目は原則として消費税の納税義務が免除されます。また、許認可が必要な業種(建設業や人材派遣業など)では、許認可取得のために一定以上の資本金額が条件として定められている場合があります。
さらに、資本金が1,000万円を超えると、設立初年度から消費税の課税事業者となるため、税務上の負担が増加します。資金調達の観点では、銀行融資において資本金の額が経営者の本気度や返済能力の判断材料とされることもあります。このように、資本金設定は「設立時のコスト(登録免許税)」、「設立後の税負担(消費税)」、「事業の許認可・信用力」の3点を総合的に比較し、自身のビジネスモデルに合わせて最適化することが賢明な判断といえます。
まとめ
会社設立にかかる費用は、株式会社と合同会社で大きく異なり、法定費用と専門家報酬の二本柱で構成されます。特に、定款の電子化や登録免許税の計算方法を理解することで、初期費用を抑えることが可能です。専門家への依頼は時間と安心を買う選択肢ですが、自分で手続きを行うことでコスト削減も見込めます。設立時の費用だけでなく、設立後の法人住民税などのランニングコストも考慮に入れ、自身の事業計画に最適な形態と手続き方法を選択することが、確実なスタートを切るための鍵となります。