「個人事業で頑張ってきたけれど、そろそろ会社を設立して事業を拡大したい。でも、会社設立にかかる税金ってどれくらい?個人事業主の時とどう違うの?」 もしあなたがそう思っているなら、この記事はまさにあなたのためにあります。会社設立は、事業の成長にとって大きな一歩ですが、税金に関する疑問や不安はつきものです。

この記事では、会社設立時にかかる税金の種類や金額、個人事業主との税金・社会保険料の違い、そして設立後の具体的な税務手続きや、知っておきたい節税のコツ、さらに節税だけでなく『社会的信用』という最強の武器を手に入れるための税金の考え方まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。この記事を読めば、会社設立に関する税金の不安が解消され、自信を持って次のステップに進めるはずです。

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設立時に発生する税金

会社を設立する際には、登記手続きや書類作成の際にいくつかの税金が発生します。これらは、会社の設立費用として計上される初期コストの一部であり、事前に把握しておくことが重要です。ここでは、設立時に具体的にどのような税金がかかるのかを詳しく見ていきましょう。

法人設立税(法人税申告・納付)

「法人設立税」という特定の税金があるわけではありませんが、会社を設立すると、その会社は 法人税を納める義務が生じます。 法人税は、会社の所得(利益)に対して課される国税で、設立初年度から適用されます。

会社を設立した事業年度の所得に応じて法人税が計算され、事業年度終了後に申告・納付が必要です。設立時の資本金自体に直接法人税がかかるわけではありませんが、資本金の額によって消費税の納税義務の免除期間や、法人住民税の均等割の金額が変わる場合があります。会社設立後は、利益が出れば法人税がかかることを念頭に置いて、事業計画を立てることが大切です。

登録免許税

会社を設立する際には、法務局に会社の設立登記を申請する必要があります。この設立登記の際に課されるのが「登録免許税」です。登録免許税の金額は、会社の資本金の額によって決まります。

具体的には、資本金の額の0.7%が登録免許税として課せられます。ただし、この税額が15万円に満たない場合は、一律15万円となります。

計算例
  • 資本金200万円の場合:200万円 × 0.7% = 1万4,000円 → 15万円(最低税額)
  • 資本金2,000万円の場合:2,000万円 × 0.7% = 14万円 → 15万円(最低税額)
  • 資本金3,000万円の場合:3,000万円 × 0.7% = 21万円

このように、資本金の額が2,142万円8,572円(15万円 ÷ 0.7%)を超えると、0.7%の税率が適用され、それ以下の場合は一律15万円がかかることになります。この登録免許税は、登記申請書に収入印紙を貼付して納付するのが一般的です。

印紙税

印紙税は、特定の経済取引に関する書類(課税文書)に課される税金です。会社設立の際には、定款(会社の基本的なルールを定めた書類)を作成しますが、この定款を紙で作成する場合に印紙税がかかります。

紙の定款には、通常4万円の印紙税が必要です。しかし、定款を電子データで作成する「電子定款」を利用すれば、この4万円の印紙税を節約することができます。電子定款の作成には、電子署名や専用のソフトウェアが必要になりますが、設立費用を抑えたい場合は検討する価値があります。

また、会社設立後も、不動産の売買契約書や金銭消費貸借契約書など、課税文書に該当する契約書を作成する際には印紙税が発生することがありますので、注意が必要です。

設立後に発生する主な税金

会社を設立し事業をスタートすると、設立時に一度だけ支払う税金だけでなく、事業を継続していく上で定期的に発生する税金があります。これらは個人事業主の時とは異なる法人特有の税金であり、会社の利益や規模に応じて納税額が変わってきます。ここでは、設立後に継続的に発生する主な税金について詳しく見ていきましょう。

法人税

法人税は、会社の所得(利益)に対して課される国税です。個人事業主が所得税を納めるのと同じように、会社は法人税を納める義務があります。

法人税の計算は、会社の売上から仕入れや経費などを差し引いて算出される「所得」に、一定の税率をかけて行われます。税率は会社の規模や所得金額によって異なり、特に中小企業(資本金1億円以下の法人など)には軽減税率が適用される場合があります。例えば、年間所得が800万円以下の部分には低い税率が適用されるなど、国の政策によって中小企業の税負担が軽減される仕組みがあります。

消費税

消費税は、商品やサービスの提供に対して課される税金です。「消費者が負担し、事業者が納める」という仕組みになっており、会社は日々の取引の中で消費税分を価格に乗せて受け取り、それをまとめて国に納めます。

会社設立後すぐに消費税の納税義務が発生するわけではありません。原則として、基準期間(通常は前々事業年度)の課税売上が1,000万円を超えた場合に「課税事業者」となり、消費税の申告・納税義務が発生します。設立初年度や翌年度は、この基準期間がないため、多くの場合「免税事業者」となります。ただし、設立時の資本金が1,000万円以上の場合や、特定期間(事業年度開始の日以後6ヶ月間)の課税売上が1,000万円を超えた場合など、免税事業者とならないケースもあります。

また、2023年10月からはインボイス制度が導入され、適格請求書発行事業者の登録を受けた課税事業者でなければ、仕入れ税額控除ができないなど、消費税の取り扱いはより複雑になっています。

インボイス制度(適格請求書保存方式)とは…

「取引先の企業に、消費税の正確な金額と税率を伝えるための、新しいルールの請求書(インボイス)」をやり取りする制度のことです。約20年前に導入された「総額表示義務(消費者に対して消費税込みの金額を正確に表示する義務)」のように、取引先に正確な金額と消費税率を提供します。
資本金1000万円未満の中小企業は消費税の免税を受けることが出来ますが、インボイス制度を利用すると、課税売上が1000万円未満であっても「課税事業者」となり、消費税を納める義務が生じます。

厳密には、「課税事業者として登録をしなければ、このインボイスを発行することが出来ない」と言った方が正しいかもしれません。このインボイス制度、一見メリットが見当たらないように思われますが、実は取引相手が「一般家庭の消費者」ではなく「企業」の場合、大きな力を発揮します。

インボイス課税事業者になることでのメリット

取引をする相手の企業が国に消費税を納める際、仕入れで払った消費税を差し引くことが出来る『仕入税額控除』を受けることができますが、この控除を受けるためには、相手(つまり自身の会社)から「登録番号」が載ったインボイスをもらう必要があります。
そのため、自身の会社が「免税事業者」であれば相手の企業にとっては「インボイスを発行してもらう事が出来ず、『仕入税額控除』が受けることが出来ない」というデメリットが発生します。

「免税事業者」であることを手放す必要があり、中小企業や個人事業主からすると、「インボイス制度」は一見「損をするだけ」なのですが、相手企業から見ると、「自身の会社が損をしてでも相手の会社に損をさせない」という姿勢を見せることにつながり、信頼を得られる制度とも言えます。冒頭でも触れましたが、まさに「『社会的信用』を得られる最強の武器」といっても過言でありません。

インボイス発行事業者の特権…「2割特例」

また、インボイス制度は損するばかりではありません。期間限定(令和5年10月1日~令和8年9月30日※決算月で終了日が変動)で期限は迫りつつありますが、インボイス発行事業者にのみ適用される「売上税額の2割だけを納めればOK」という激変緩和措置2割特例』が存在します。

※2割特例適用期間は以下の様になります。
9月決算法人→令和5年10月1日~令和8年9月30日
10月決算法人→令和5年10月1日~令和8年10月31日
11月決算法人→令和5年10月1日~令和8年11月30日




8月決算法人→令和5年10月1日~令和9年8月31日
消費税に関しては8月決算法人が、一番適用期間が長く、得をしそうです。

法人事業税

法人事業税は、会社が事業を行う上で利用する道路や消防、教育といった公共サービスに対して課される地方税(都道府県税)です。

この税金は、会社の所得に応じて計算される「所得割」が基本ですが、資本金1億円超の法人などでは、所得だけでなく付加価値額(人件費、賃借料など)や資本金等の額に応じて計算される「付加価値割」や「資本割」も課されます。法人事業税は、会社の所得が赤字の場合でも、一定の条件で納税義務が発生する場合があります。

法人住民税

法人住民税は、会社が所在する地方自治体(都道府県と市区町村)に納める地方税です。住民サービスにかかる費用を会社も一部負担するという考え方に基づいています。

法人住民税は、「法人税割」と「均等割」の2つの要素で構成されます。

法人税割

国に納める法人税額を基準として計算される部分です。法人税額に一定の税率をかけて算出されます。

均等割

会社の所得や利益に関わらず、会社の規模(資本金と従業員数)に応じて一律に課される部分です。たとえ会社の所得が赤字で法人税を納める必要がない場合でも、株式会社でも合同会社でも関係なく「法人」であればこの均等割は必ず発生します。

会社の規模に応じてどのように変動するのか分かりやすく表にまとめました。

資本金等の額従業員数均等割(年額目安)
1000万円以下50人以下約7万円
1000万円以下50人超約14万円
1000万円超50人以下約18万円
1000万円超50人超約20万円
※均等割はお住まいの地域によって変動します。

このように、法人住民税は会社の利益の有無にかかわらず発生する均等割があるため、会社を設立した以上、最低限の税負担は避けられないことを理解しておく必要があります。

個人事業主と法人の税金・社会保険料の比較

個人事業主が法人化を検討する際、最も気になるのが税金と社会保険料の違いではないでしょうか。ここでは、個人事業主と法人で税金や社会保険料がどのように変わるのか、その主な違いを詳しく見ていきましょう。

税金面での違い

個人事業主と法人では、課せられる税金の種類や計算方法が大きく異なります。主な違いは以下の通りです。

項目個人事業主法人
所得の種類事業所得法人所得(会社の利益)
課税される税金所得税、住民税、個人事業税、消費税法人税、法人住民税、
法人事業税、消費税
税率所得税は累進課税
(所得に応じて税率アップ)
法人税は所得が800万円以下で15%、
それ超で23.2%(中小企業の場合)
経費計上の範囲家事按分など制限がある場合が多い事業に関連する費用は幅広く計上可能
所得の分散家族への給与は制限あり役員報酬や従業員給与として
所得分散が可能

個人事業主の場合、所得が増えるほど所得税の税率が上がる累進課税が適用されます。一方、法人の場合は法人税が課され、中小企業であれば所得800万円以下の部分には軽減税率が適用されます。事業の利益が一定額を超えると、法人税の方が所得税よりも税率が低くなるケースが多く、これが法人化による税金面での大きなメリットの一つです。

また、個人事業主では認められにくい家族への給与支払いや、事業に関連する費用の経費計上範囲が法人の方が広くなる傾向があります。これにより、課税所得を抑えやすくなるのも法人の特徴です。

社会保険料面での違い

税金だけでなく、社会保険料も個人事業主と法人では大きく異なります。

項目個人事業主法人
加入する保険国民健康保険、国民年金
(任意で国民年金基金など)
健康保険、厚生年金保険
(原則として強制加入)
保険料の計算国民健康保険は前年の所得や自治体により異なる健康保険・厚生年金は役員報酬(給与)額に応じて計算される
負担割合全額自己負担会社(法人)が約半分を負担、
残りを従業員・役員が負担
扶養の概念なし健康保険には扶養の概念があり、扶養家族の保険料はかからない

個人事業主は、国民健康保険国民年金に加入するのが一般的で、保険料は全額自己負担となります。国民健康保険料は前年の所得や住んでいる自治体によって変動し、所得が増えれば保険料も高くなる傾向があります。

一方、法人を設立すると、原則として健康保険厚生年金保険への加入が義務付けられます。これらの社会保険料は、役員報酬(給与)額に応じて計算され、会社が約半分を負担し、残りの半分を役員・従業員が負担します。一見、会社の負担が増えるように見えますが、役員報酬の金額を調整することで、社会保険料の負担をコントロールできる場合があります。また、健康保険には扶養の概念があるため、扶養家族がいる場合は、家族の保険料負担がなくなるというメリットもあります。

ただし、社会保険料は法人化による「隠れコスト」とも言われることがあり、役員報酬によっては個人事業主時代よりも負担が増えるケースもあるため、慎重な検討が必要です。

会社設立後の税務申告・届出

会社を設立したら、事業を始める前に税務署などへ様々な届出を提出する必要があります。これらの届出を適切に行うことで、税制上の優遇措置を受けられたり、スムーズに事業運営を進められたりします。ここでは、会社設立後に必要となる主な税務申告・届出について解説します。

設立届の提出

会社を設立したら、税務署、都道府県、市町村のそれぞれに「法人設立届出書」を提出する必要があります。これは、会社が新たに事業を開始したことを関係機関に知らせるための重要な書類です。

  • 税務署への提出: 会社設立後2ヶ月以内に、所轄の税務署へ提出します。登記簿謄本や定款のコピーなどを添付します。
  • 都道府県・市町村への提出: 会社設立後、それぞれの自治体が定める期間内(通常は1ヶ月〜2ヶ月以内)に提出します。こちらも登記簿謄本などを添付します。

これらの届出を怠ると、税金面で不利になる可能性もあるため、期限内に必ず提出しましょう。

青色申告承認申請書の提出

税務上のメリットを最大限に享受するためには、「青色申告」の承認を受けることが非常に重要です。青色申告とは、一定の帳簿書類を備え付けて記帳し、その記帳に基づいて所得金額や税額を計算・申告する制度のことです。

青色申告の主なメリットには、最大10年間、赤字(欠損金)を繰り越して翌年以降の黒字と相殺できる「欠損金の繰越控除」などがあります。この承認を受けるためには、原則として設立事業年度の終了の日まで、または設立の日から3ヶ月以内(いずれか早い方)に所轄の税務署へ「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。期限を過ぎてしまうと、その事業年度は青色申告の適用を受けられなくなるため注意が必要です。

その他必要な手続き

上記以外にも、会社の状況に応じて提出が必要な届出がいくつかあります。主なものは以下の通りです。

  • 消費税の課税事業者選択届出書: 設立初年度から消費税の還付を受けたい場合などに提出します。
  • 給与支払事務所等の開設届出書: 役員や従業員に給与を支払う場合に、税務署へ提出が必要です。
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書: 給与の支払いを受ける人が常時10人未満の場合、源泉所得税の納付を年2回にできる特例を受けるための申請書です。事務負担を軽減できます。

これらの届出は、会社の事業内容や従業員の有無によって提出の要否が変わるため、ご自身の会社に必要な届出を漏れなく確認し、適切なタイミングで提出することが大切です。

会社設立後の節税対策

会社を設立した後は、事業の成長とともに税金との向き合い方も重要になります。適切な節税対策を行うことで、手元に残る資金を増やし、さらなる事業投資や個人の資産形成に役立てることが可能です。ここでは、会社設立後に実践できる具体的な節税策について解説します。

役員報酬の設定の重要性

会社設立後の節税対策において、最も重要な要素の一つが「役員報酬」の設定です。役員報酬は、会社にとっては損金(経費)となり法人税の計算から差し引かれますが、役員個人にとっては給与所得となり、所得税や住民税、社会保険料の対象となります。

このため、役員報酬の設定は、会社全体の法人税と役員個人の所得税・社会保険料のバランスを考慮して最適化する必要があります。報酬が高すぎると個人の税金・社会保険料負担が増え、低すぎると会社の法人税負担が増えることになります。

また、役員報酬は原則として「定期同額給与」でなければなりません。これは、毎月一定額を支給する給与のことで、事業年度の途中で金額を変更すると、その変更部分が損金として認められない場合があります。期の途中で報酬を変更できるのは、事業年度開始から3ヶ月以内や、業績悪化による改定など、限られたケースのみです。

適正な役員報酬を設定するには、事業計画や会社の利益水準、個人の生活費などを総合的に考慮し、税理士と相談しながらシミュレーションを行うことが非常に重要です。

経費計上のポイント

法人化すると、個人事業主時代よりも経費として認められる範囲が広がる場合があります。適切に経費を計上することで、会社の利益を圧縮し、法人税の負担を軽減できます。

主な経費計上のポイントは以下の通りです。

交際費

個人事業主時代は全額経費になりますが、法人では一定の金額まで(中小企業の場合、年間800万円まで、または飲食費の50%まで)損金算入が可能です。

旅費交通費

出張手当や日当などを規定に基づいて支給することで、会社は経費に計上でき、役員個人は非課税となる場合があります。

福利厚生費

従業員だけでなく、役員に対しても福利厚生を充実させることで、経費計上できる場合があります。社員旅行や健康診断費用などが該当します。

減価償却費

パソコンや車両、オフィス設備など、事業に使用する固定資産の取得費用は、その耐用年数に応じて数年間にわたって経費として計上できます。

通信費・消耗品費

事業用の携帯電話料金、インターネット回線費用、文房具、事務用品なども当然経費として計上できます。自宅兼事務所の場合は、家賃や光熱費の一部を按分(あんぶん)して経費にすることも可能です。


経費計上にあたっては、必ず領収書や請求書などの証拠書類を保管し、事業との関連性を明確にすることが重要です。

その他の節税策(退職金、生命保険など)

役員報酬や経費計上以外にも、会社設立後に活用できる様々な節税策があります。

役員退職金制度の活用

役員に退職金を支給する場合、会社にとっては損金となり、役員個人にとっても退職所得控除が適用されるため、税負担を大幅に軽減できる可能性があります。計画的な積み立てが重要です。

生命保険の法人契約

法人契約の生命保険は、契約内容によっては保険料の一部または全額を会社の経費として計上できる場合があります。保障と節税の両面から検討できますが、税務上の取り扱いは複雑なため、専門家への相談が必須です。

小規模企業共済

個人事業主時代から加入している方もいるかもしれませんが、法人化後も役員として加入を継続できます。毎月の掛金は全額所得控除の対象となり、将来の退職金代わりにもなります。

倒産防止共済(経営セーフティ共済)

正式名称は「中小企業倒産防止共済制度」です。毎月の掛金は全額損金として計上でき、万が一の取引先の倒産時に無担保・無保証人で借入ができる制度です。

決算期の検討

会社の決算期をいつにするかによって、税金の支払い時期や節税対策のタイミングが変わってきます。売上のピークを避けるなど、事業状況に合わせた決算期の設定も節税につながることがあります。


これらの節税策は、会社の状況や事業計画によって最適なものが異なります。一つ一つの制度を理解し、自社に合った形で活用していくことが大切です。

会社設立で失敗しないための注意点

会社設立は事業を大きく成長させるチャンスですが、準備不足や知識不足で思わぬ落とし穴にはまることも少なくありません。特に税金面での失敗は、会社の経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。ここでは、会社設立で失敗しないために、設立前の準備段階から設立後の運用まで、特に注意すべき点を解説します。

設立前の準備

会社設立を成功させるためには、事前の準備が非常に重要です。特に個人事業主が法人化する際には、税金面での落とし穴に注意し、計画的に進める必要があります。

資本金の設定

資本金は会社の体力を示すものであり、取引先からの信用にも影響します。また、消費税の納税義務の免除期間にも影響するため、安易に少額に設定すると後々不利になるケースもあります。事業内容や将来の事業計画を考慮し、適切な金額を設定しましょう。

事業計画の策定

設立後の売上や費用、利益の見込みを具体的に盛り込んだ事業計画を策定することで、必要な資金や税負担を事前に把握できます。これにより、資金ショートや想定外の税金に慌てるリスクを減らせます。

定款内容の検討

会社の憲法ともいえる定款は、一度作成すると変更に手間がかかります。事業目的、役員の任期、役員報酬の決定方法など、将来を見据えて慎重に検討しましょう。特に役員報酬は、設立後の税金や社会保険料に大きく影響するため、税理士と相談しながら設定することをおすすめします。

個人事業の廃業手続きと法人への資産移管

法人化する際には、個人事業の廃業届を提出し、事業で使用していた資産(設備、在庫など)を法人へ移管する必要があります。この際、資産の評価額によっては税金が発生する場合があるため、事前に確認しておくことが重要です。

設立後の運用

会社設立後も、適切な経理処理と税務申告、そして経営判断が求められます。特に以下の点には注意しましょう。

経理処理の正確性

法人では、個人事業主よりも厳密な経理処理が求められます。売上や費用の計上漏れ、不適切な経費処理は、税務調査で指摘され、追徴課税の対象となる可能性があります。日々の取引を正確に記録し、証拠書類を適切に保管することが不可欠です。

税務申告の遅延リスク

法人税や消費税などの税務申告には期限があり、遅れると加算税や延滞税が発生します。また、税務署への各種届出も期限内に行う必要があります。期限管理を徹底し、必要に応じて税理士のサポートを受けることを検討しましょう。

役員報酬の安易な変更

役員報酬は、原則として年に一度しか変更できません。期中に安易に変更すると、損金として認められず、法人税の負担が増える可能性があります。会社の利益状況や個人の所得税・社会保険料への影響を考慮し、慎重に決定しましょう。

見落としがちな「隠れコスト」

法人化すると、税金以外にも様々な費用が発生します。例えば、社会保険料の会社負担分、顧問税理士費用、会計ソフトの利用料、会社の維持費用(法人登記の更新料など)などです。これらの隠れコストも考慮に入れた資金計画を立てておくことが重要です。

税理士に相談すべきタイミングとメリット

会社設立と税金に関する複雑な問題を解決するために、税理士の専門知識を活用することは非常に有効です。ここでは、税理士に相談する具体的なメリットと、最適な相談タイミングについて解説します。

相談のメリット

税理士に相談することで、以下のような多岐にわたるメリットを享受できます。

手続きの効率化とミスの防止

会社設立時の税務署への届出や各種申請は多岐にわたり、専門知識が必要です。税理士に依頼することで、書類作成や手続きをスムーズに進められ、不備による遅延やミスのリスクを大幅に減らせます。

最適な節税対策のアドバイス

設立前から設立後にかけて、法人税や所得税、消費税など、さまざまな税金が発生します。税理士は、事業内容や状況に応じた最適な節税策を提案し、合法的に税負担を軽減するためのサポートをしてくれます。役員報酬の設定や経費計上のポイントなど、具体的なアドバイスが期待できます。

設立後の税務申告のサポート

会社の設立後も、決算申告や各種税金の納付など、継続的な税務処理が必要です。税理士に顧問を依頼することで、これらの複雑な業務を代行してもらい、経営者は本業に集中できます。

税務調査への対応

万が一、税務調査が入った場合でも、税理士が同席し、専門的な知識をもって対応してくれます。これにより、経営者の負担が軽減され、適切な説明を行うことが可能になります。

相談するタイミング

税理士に相談するタイミングは、事業の状況や知識レベルによって異なります。主なタイミングは以下の通りです。

会社設立を検討し始めた段階

個人事業主から法人化を検討している場合や、これから事業を始める段階で、税金や社会保険料のシミュレーション、法人化のメリット・デメリットを知りたい時に相談するのがおすすめです。

具体的な設立準備に入る前

会社の定款作成や登記手続き、資本金の設定など、具体的な設立準備に入る前に相談することで、税務上の最適な選択肢についてアドバイスを受けられます。

設立後の税務処理に不安がある時

自分で税務処理を行っているものの、申告内容や経理処理に不安を感じる場合は、早めに税理士に相談しましょう。

事業拡大を考えている時

新規事業の立ち上げやM&Aなど、事業を拡大する際には、税務上の影響が大きいため、事前に税理士の意見を聞くことが重要です。

まとめ:会社設立は税金の理解から始めよう 

ここまで、会社設立時にかかる税金の種類から、設立後の法人税や消費税、個人事業主との税金・社会保険料の違い、そして具体的な節税対策まで詳しく解説してきました。会社設立は、事業をさらに発展させるための大きな節目であり、税金の知識は避けて通れない重要な要素です。

この記事を通じて、会社設立に伴う税金に関する疑問や不安が解消され、法人化のメリット・デメリットを深く理解していただけたなら幸いです。

税金の知識をしっかりと身につけることで、設立時の手続きをスムーズに進められるだけでなく、設立後の事業運営においても最適な税務戦略を立て、将来的な税負担を軽減することが可能になります。

もし、この記事を読んでさらに具体的な相談をしたい、あるいは個別の状況に応じたアドバイスが欲しいと感じた場合は、税理士への相談を強くおすすめします。専門家のサポートを得ることで、より安心して事業に集中できるでしょう。

会社設立は、あなたのビジネスにとって新たな成長の扉を開くチャンスです。税金という側面からもしっかりと準備を整え、成功への第一歩を踏み出しましょう。